【古物商 実務解説】美術品の買い取り価格の相場・決め方

この記事は専門家が監修しています

13種類ある古物の中でも、最も奥が深く専門的な知識と経験が必要なのが、美術品です。

そのため、古物商として、美術品を買い取る場合には、どのような価格で買い取りをすればよいのか迷われる方も多いでしょう。

また、これから、美術商としてデビューしていくために、どのように相場観を養えばよいのか、さらに参考となる図書などがあるのかどうかも気になるところです。

そこで今回は、美術品を買い取る場合の価格や相場の決め方について案内をしていきたいと思います。

美術品を買い取る場合、マニュアルは存在しない

美術品を買い取る場合に、マニュアルは存在しません

例えば、中古車の場合には、レッドブックやイエローブックと言われる、買い取り・販売の参考書があります。
そして、それらを使用すれば、取引されている中古車のほとんどの相場を知ることができます。

しかし、美術品の場合には、中古車のような相場表は存在しないのです。

そのため、一番重要となるのは、美術商としての知識と経験です。

多くの美術品鑑定に携わり、美術商としてのスキルを身に着けるしかないのです。

しかし、この記事をご覧になっている方は、経験も知識もこれから高めていきたい方が大半だと思います。

そこで、一人前の美術商となるために参考となる書籍や考え方をお伝えしていければと思います。

美術商が参考にしている書籍『美術市場』と『美術年鑑』

美術商としての知識を高めるために参考となる図書としては、『美術市場』と『美術年間』の2つがあります。

実際には、これら以外にも参考となる図書はあるのですが、これから美術商を目指す方は、まずはこの2冊を押さえると良いでしょう。

この2冊をじっくりと読み比べると、『評価の方法』や『評価基準』が大きく異なるのです。

また、作家においても、現存作家(現在、実際に生存している作家)なのか、物故作家(すでに亡くなっている作家)であるかでも、評価基準や評価方法が異なっているのです。

つまり、美術品の価格や相場を形成する、『評価基準』や『評価方法』においても、様々な考え方や評価方法があるのです。

また、価値があまり高くなかった美術品においても、作者が亡くなったことで、評価額が一気に高騰したケースも多くあるのです。

このように多くの評価方法や評価基準があり、さらに様々な要因が複雑に絡み合って、美術品の価格は形成されております。

そのため、美術商において、一番大切なことは、実務の経験値なのです。

まずは、美術商としての第一歩を歩むために、評価基準や評価方法がいくつもあることを知る必要があります。

もし、参考図書の価格をそのまま評価額として記載したとします。

実はこれが実勢相場と1桁以上も違う価格ということがありえます。

美術品の価格は評価の方法や評価額が様々なので、こういうことが起こり得るのです。

1桁も違う価格で美術品を鑑定してしまっては、プロの美術商とはいえません。

自ら、知識不足の美術商である事を宣伝しているようなものです。

そのようにならないためにも、まずは美術品の評価方法が多数あることを押さえておきましょう。

それでは、参考書籍である、『美術市場』と『美術年間』の評価額の方法や基準を確認していきたいと思います。

参考書籍『美術市場』の評価基準と評価方法

美術品の評価基準や評価方法は、現存作家物故作家(作家が亡くなっている)かどうかで次の通りとなります。

現存作家の評価基準
全国の主要百貨店や画廊で発表された価格や取引された価格を基準としている。
現存作家の評価方法
評価方法は、日本画、洋画ともに10号を基準とし、1号あたりの標準発表価格となっている。
物故作家の評価
美術市場において、物故作家の場合には評価はない。

美術市場の価格は百貨店や画廊での新作発表会や展示会での価格に近いです。
つまり、小売り希望価格に近い価格が掲載されてるイメージです。

参考書籍『美術年鑑』の評価基準と評価方法

美術年鑑に記載されている、評価基準と方法についても、現存作家か物故作家かで次の通りとなります。

現存作家の評価基準
市場動向と製作の内容を加味して、総合的に評価をする。
現存作家の評価方法
美術年鑑の場合には、日本画も洋画の場合も、傑作を標準として、1号あたりの評価価格とする
物故作家の評価
日本画の場合には、代表作の評価価格に準じた価格。
古美術の評価尺五幅建物(45cm)、あるいは二尺幅横物(60cm)を基準とする。
洋画の場合には、代表作の1号あたりの評価価格となる。

美術年鑑に記載されている評価は、代表作や傑作が基準となっている。
美術年間に比べて価格が高い傾向がある。
物故日本画作家の評価価格においては、1号当たりの価格ではなく、古美術と同じ基準(10号程度のサイズ)の評価額が記載されている。

とある新米美術商が犯したミス

美術商として商品をオークションに出品する場合には、美術市場や美術年鑑の掲載価格を参考に記載することがあります。

しかし、知識の浅い美術商が、これらの評価基準や評価方法の知識を理解せずに次のようなミスを犯しました。

日本画作家の価格においては、現存作家物故作家とで評価サイズが異なります。

しかし、この美術品を出品した商人は評価サイズの違いを考慮せずに、10号サイズで100万の評価しか記載されていない物故作家の作品について、1000万の美術年間評価額と引用して出品してしまったのです。

おそらく、物故日本画作家の評価額についても現存作家同様に1号あたりの評価額が記載されていると勘違いしたのでしょう。

しかし、実際には物故作家の作品は10号サイズあたりの価格が記載されているのです。

このように、評価サイズを勘違いするだけで、1桁も価格を間違えてしまう可能性があるのです。

実際の取引の場では、『勘違い』や『間違い』は許されませんので十分注意しましょう。

『美術市場』『美術年鑑』は参考価格

美術市場や美術年間の価格は、美術品を買い取る際の参考にはなります。

しかし、あくまでも美術品の評価価格は、作品の出来栄え保存状態などで大きく変動するものです。

また、景気や作家が賞などを受賞することで評価も大きくことなっていきます。

そのため、美術市場や美術年間をもとに、独自の鑑定眼で評価し、買い取るしかありません。

それゆえ、美術品の評価は難しいと言われるのです。

美術品の買い取り知識を高める方法

プロの美術商として、美術品買い取りの相場感覚を身に着けるのに役立つであろう情報をまとめました。

先ほどご案内した、美術市場や美術年鑑をはじめとした専門書や、実際に開催されたオークションデータを参考として相場観を養っていくと良いでしょう。

専門書の活用

日本で活躍する芸術家の作品価格を調べる本

  • 美術年鑑
  • 美術名典
  • 美術市場

日本で開催された美術オークションデータを参考とする

  • 日経アートオークションデータ(日経BP社)
  • 月刊美術
  • シンワアートオークション
  • 美術商の百年:東京美術倶楽部百年史
  • 東京美術市場史

海外で開催されたオークションデータを参考とする

  • 日経アートオークションデータ
  • Dictionary of artists 1st English ed. Benezit Grund 2006
  • Art price annual falks Art price index Artprice

【古物商 実務解説】美術品の買い取り価格の相場・決め方 まとめ

美術品の買い取り相場や価格の決まり方は非常に複雑です。

おそらく、13種類ある古物の中で、最も評価するのに知識と経験が必要となるでしょう。

しかし、ライバルが少ないのも事実です。

そのため豊富な知識や経験があれば、それだけで稼ぐことができるでしょう。

美術商の中には、絵画の鑑定において1枚1万円~2万円の鑑定料を取るケースも珍しくありません。

この記事をご覧になっている、1人でも多くの読者が、プロの美術商となることを期待しております。

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