【古物商 実務Q&A】本人確認と古物台帳はどのようなときに必須ですか?

この記事は専門家が監修しています

古物商許可を取得された皆さんは警察署(公安委員会)が認めたプロの古物商業者となります。

そのため、古物商許可を取得した後には『盗品類の流通防止』のために、『本人確認』や『古物台帳への記帳』をする義務を負います。

しかし、古物商の実務経験があまりない方にとっては、『どのような場合に本人確認と古物台帳への記録が必要となるか』の判断に迷うのではないでしょうか。

また、古物商に関する多くのサイトを見ても、『本人確認と古物台帳が必要となるケース』のすべてを把握することは難しいと思います。

その理由は、古物の取引では『買取りと売却の場合』また『取引する古物の種類や金額

そして『店舗型のショップかオンライン型のショップ』なのかどうかで、本人確認と古物台帳への記録が必要となるかどうかの結論が異なってくるからです。

そこで、皆さんへは、本人確認や古物台帳への記録が必要かどうかを判断するポイントを先にお伝えします。

そして、細かなケースにおいてはQ&Aでしっかりと確認をしていけば良いでしょう。

本人確認と古物台帳への記録が必要かどうかの判断ポイント

本人確認と古物台帳への記録が必要かどうかを判断するポイントは、古物商を許可制度とした2つの目的を考えることです。

古物商許可の目的

  • 盗品類の流通を防ぎ犯罪組織の繁栄を防ぐ
  • 盗品類の被害を1日でも早く解決する

そして、『本人確認』と『古物台帳への記録』はこの目的を達成するために必要となる古物商の義務なのです。

本人確認

本人確認は、『他人への成りすまし、偽名を使った取引』を防ぎ、盗品の流通を防ぐために実施する必要があります。

古物台帳への記録

古物台帳への記録は、万が一盗難品が流通した場合に1日でも早い解決をするため、警察の捜査に協力できるよう日々の古物取引を記録しておきます。

そして警察が捜査する際には、古物台帳へ記録された情報を基に犯人を捕まえることもあるのです。

皆さんにおいて『本人確認』や『古物台帳への記録』が必要かどうかの判断に迷われた場合には、古物商許可制度の目的に戻って考えてみると答えが出るかと思います。

Q なぜ、本人確認と古物台帳に記帳をする必要があるのですか?

A 本人確認は『盗品類の流通防止』の為に必要です。
また、古物台帳への記帳は盗難が発生した場合の『被害の早期回復』の為に必要です。

盗品が流通しないように、古物を買い入れる際には『身分証明書等で相手の身元を確認』して『なりすまし』や『偽名での取引』を防ぎます。

そして、万が一盗品であった場合でも『古物台帳に取引記録を残しておけば、盗品がどこから流れてきたのかを確認することができるのです。

逆に、本人確認もせず、さらに古物台帳へ取引記録も残しておかなかった場合には、皆さんが古物を盗んだ犯人だと疑われても無罪である証明すらできないのです。

皆さん自身を守るため、そして古物取引のプロとして『本人確認』と『古物台帳への記録』は絶対に行うようにしましょう。

Q 本人確認と古物台帳への記帳をしない場合の罰則はありますか?

A 古物商である皆さんが『本人確認』や『古物台帳への記帳』をしていない場合には、『6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金若しくは両方』の罰を受ける可能性があります。

罰則とは別に、『営業の停止処分』や『許可の取り消し処分』を受ける場合もありますので、『本人確認』と『古物台帳への記載』は必ず行いましょう。

Q 本人確認が必要な古物取引はどんな時ですか?

A 本人確認が必要な古物取引は『古物の買い取り』、『古物の交換』、『売却や交換の委託』3つの取引時に必要です。

基本的には、『盗品を買い受ける可能性がある場合』には本人確認を実施する習慣をつけるのが一番良いと思います。

また、古物商として本人確認が必要となるのは以下の3つのケースです。

本人確認が必要なケース

  • 古物の買い取りをするとき
  • 古物を交換するとき
  • 古物の売却や交換を委託されたとき

Q 古物の買い取りとをするときには本人確認が必要ですか?

A 古物の売買において、買い取りをするときには『本人確認』が必要です。

一方で、『古物を売却する場合』や『買い取りする場合でも1万円未満の少額である場合には本人確認が不要となるケースがあります。

古物の買い取り価格が1万円以上の場合
すべての古物について『本人確認が必要』です。

古物の買い取り金額が1万円未満の場合
基本的に『本人確認は不要』です。

しかし、以下の5項目に当てはまる場合には金額に関わらず本人確認が必要となります。

1万円未満でも本人確認が必要な商品

  • ゲームソフト
  • 自動二輪(部品含む)
  • 原動付き自動車(部品含む)
  • CD、DVD

また、未成年者より古物の買い取りをする場合には、本人確認に加えて『親の承諾書』も取りつけておくと良いでしょう。

Q 古物を交換するときにも本人確認は必要ですか?
また交換とはどんな取引をいいますか?

A 古物を交換するケースでも『本人確認』が必要です。

例えば、皆さんが乗っていた車が壊れてしまった為、修理業業者の所へ持って行ったとします。

そして、修理業者からは、修理が完了するまでには日数を要するため、中古の代車を貸して貰いました。

このようなケースでは、『古物(中古車)を受け取り、代わりの古物(中古の代車)を渡している』為、古物を交換していることとなります。

古物の交換をするときには『古物商許可』が必要ですし、『本人確認』も必要となります。

Q 古物の売却や交換を委託されたときにも本人確認は必要ですか?
またどんなメリットがありますか?

A 古物の売却や交換を委託された場合にも本人確認は必要です。
古物の売却や交換を委託された場合のメリットとしては、委託された側は『買い取りが不要』となります。

なぜかといえば、古物商は依頼者に古物を売るように頼まれたにすぎないからです。

また、依頼した側にとっても『古物が販売できるまでは自分で保管する場所が不要となる』メリットがあります。

そして、依頼者の希望価格で売却ができた場合には古物商は、『手数料』得ることができます。

このように、古物の売却や交換の委託取引はメリットがありますが、古物商にとっては、盗品類の売却依頼を受ける可能性がある為、本人確認が必要となるのです。

Q 本人確認の方法について教えてください

A 本人確認は、取引する相手がどんな人物なのかを運転免許証などの身分証で確認します。

本人確認をすることで、『偽名での取引』、『なりすまし』を防ぐことができます。

『本人確認』の具体的方法は、皆さんのお店が『店舗型(対面取引)』である場合と『オンライン取引型(非対面型)』であるかで方法が変わってきます。

Q リサイクルショップを経営しております。
本人確認の方法を教えてください。

A リサイクルショップ(対面型)での本人確認は、運転免許証などの身分証明書を提示いただくことに加え、『氏名、住所、年齢、職業』が記載された文書をもらうことの2点が必要です。

例えば、皆さんのお店に、古物を売りに来たお客さんに対して本人確認をするには次の2点を実施します。

対面型の本人確認

  • 運転免許証や健康保険証、身分証明書などの提示を受ける
  • 氏名、住所、年齢、職業が記載れた文書をもらう

運転免許証などの本人確認できる資料のコピーを取るとともに、『年齢』や、『務め先の企業名や住所』を記載していただく用紙として『買い取り申込書』を作成しておくと良いでしょう。

Q インターネットショップ(非対面)で古物商をしています、本人確認の方法を教えてください

A インターネットショップでの取引は『郵送、メール』でのやりとりが中心なので、『偽名での取引』や『なりすまし』など犯罪取引が増える傾向があります。 
本人確認方法は数パターンありますので以下を確認ください。

非対面での本人確認方法

  • 取引の相手へ本人限定郵便を送付して到達を確認する
  • 本人限定郵便等で古物の代金を郵送する
  • 電子署名の入ったメールを相手から受ける
  • 相手から印鑑登録証明書と登録してある実印で押印している書面を受ける
  • 相手から住民票の写し等の送付を受け、記載住所に簡易書留(転送なし)で送付し到達確認をする
  • 相手から住民票の写し等の送付を受け、記載名義と同様の銀行口座へ古物代金を振り込む
  • 相手から本人確認書類(運転免許証、国民健康保険者証)のコピー等の送付を受け、記載住所へ簡易書留(転送なし)を送付かつ併せて同一名義の預金口座へ代金を振り込む
  • 2回目以降の取引の場合には、IDやパスワードの送付を受ける

取引の相手へ本人限定郵便を送付して到達を確認する

本人限定郵便は、配達物を届ける方が宛名と同一人物であるかどうかを身分証で確認できないと受け取ることができない郵便です。

たとえ、同居している家族であっても受け取ることはできないので、本人確認には非常に有効な郵便となります。

本人限定郵便で古物代金を郵送する

古物の代金を受け取るには郵便の配達員へ、身分証などの本人確認書類を提示する必要があります。

受け取りの際には、確実に本人確認がされますので、『なりすまし』を防ぐことが可能です。

電子署名の入ったメールを相手から受ける

電子署名とは文章が『改ざんされていないこと』と『本人が文書にサイン(署名)したこと』を証明するものです。

契約書でいえば、実印の役割を果たします。

また、電子署名は非常に便利ではありますが、事前にソフトを導入したり、設定をする必要がありますので注意しましょう。

相手から印鑑登録証明書と登録してある実印で押印している書面を受ける

役所に登録した実印を契約書に押印してもらうと同時に、『印鑑証明書』を添付して確認をします。

また、印鑑証明書には『氏名』、『住所』も記載されていますが、併せて相手から氏名、住所、職業、年齢を記載した書面をもらう必要があります。

相手から住民票の写し等の送付を受け、記載住所に簡易書留(転送なし)で送付して到達の確認をする

相手に住民票を送付してもらい、その住所へ簡易書留(転送なし)で送付をします。

ポイントは転送しない取り扱いとすることが必要です。

仮に転送が可能であると、差出人が指定した宛先とは異なる住所に転送された場合には、住所に相手が住んでいるかどうかの証明ができないからです。

相手から住民票の写し等の送付を受け、記載名義と同様の銀行口座へ古物代金を振り込む

買い取りをする古物と一緒に住民票の写しを送付してもらい、記載されている名義の銀行へ代金を振り込む方法です。

また、この場合には、相手から住所、年齢、職業の記載された書面を受ける必要があります。

相手から本人確認書類(運転免許証、国民健康保険者証)のコピー等の送付を受け、記載住所へ簡易書留(転送なし)を送付、かつ併せて同一名義の預金口座へ代金を振り込む

運転免許証や国民健康保険の写しは偽造される可能性があります。

そこで、偽造されていないことを証明するために、相手の住所へ簡易書留郵便(転送なし)を送付、さらに本人名義の口座へ代金を支払います。

2回目以降の取引の場合には、IDやパスワードの送付を受ける

1度取引をしたことのある相手に対して活用できる方法です。

例えば、ホームページなどで古物の販売を行う場合において、初めての取引の際には本人確認を実施します。

また、初めての取引の際に本人確認後にIDとパスワードを付与します。
そして、2回目以降に取引を行う場合には付与したIDとパスワードを入力させることで本人確認の代わりとします

Q 古物台帳とは何ですか?

A 古物台帳は、古物の取引を記録する帳簿です。

古物商許可を得た古物商においては、一定の取引をした場合には、古物台帳に取引の記録をする義務があります。

また、記録していなかった場合には罰則がありますのでしっかりと記録しましょう。

Q 古物台帳を用意しないと罰則はありますか?

A 古物台帳へ記録が必要な取引を記録していない場合には、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金、若しくは両方が科される可能性があります。

古物台帳には古物の取引に関する必要情報が記載されております。

そして、盗品類が流通してしまった場合には警察は古物商が記録してある古物台帳の情報を基に捜査をするケースもあります。

Q 古物台帳への記録が必要なのはどんな場合ですか?

A 古物台帳への記録が必要な取引は、『古物の売買』、『古物の交換』、『古物の売買または交換の委託』3パターンの取引に必要です。

古物台帳への記帳は、古物の持ち主が変わるたびに記録がされる仕組みです。

しかし、一定の場合には古物台帳への記録義務が免除されます。

古物の取引金額が1万円未満の場合
1万円未満の古物取引については古物台帳への記録義務はなくなります。
しかし、金額にかかわらず売却、買い取りの際にそれぞれ記録が必要な5品目もあるので注意してください。

買い取り時 1万円未満の対価でも古物台帳への記録が必要となる5つの品目

  • バイク(部品含む)
  • 原動付自転車(部品含む)
  • ゲームソフト
  • 書籍
  • CDやDVD

売却時 1万円未満の対価でも古物台帳への記録が必要となる品目

  • 自動二輪車及び原動機付自転車(部品部分を除く)

一度自分が売却した物品を同じ相手から買う場合
古物を販売した相手から買い戻す場合には古物台帳への記録は不要です。

しかし、200万円以上の『貴金属類や宝石』を『現金』で取引する場合には記録が必要となりますので注意しましょう。

古物の売却
古物の売却は買い取りとは違い、品目によって記録するかどうかの結論が異なります。

そして、古物の売却をする際には、以下の4品目の取引時のみ、古物台帳への記録が必要です。

古物売却時に記録が必要な4品目

  • 自動車(部品類も含む)
  • 自動二輪、原動付き自転車(部品類を含む)
  • 美術品
  • 宝飾品類や時計

Q 古物台帳にはどんな項目を記載しますか

A 古物台帳には『取引年月日』や『古物の情報』、『取引相手の情報』など5項目の情報を記録します。

古物台帳へ記載する項目は、古物を受け入れる(買取り)場合と、払い出す(売却)する場合とでは記載項目が異なる場合があります。

買取の際に古物台帳へ記載が必要となる5項目

  • 古物の品目や数量
  • 取引した年月日や取引形態
  • 古物の特徴
  • 取り引き相手の住所、氏名、職業や年齢
  • 本人確認をしたかどうか

売却の際に古物台帳へ記録が必要なる3項目

  • 古物の品目や数量
  • 取引した年月日や取引形態
  • 取引き相手の住所、氏名

Q 古物台帳はどこで買えますか?

A 古物台帳は各都道府県の防犯協会で購入することができます。

古物台帳は各都道府県の防犯協会で1冊3,100円程度で購入が可能です。
また、防犯協会では『古物商プレート』や『従業者証』も作成することが可能です。

Q 古物台帳はどのくらいの間、保管が必要ですか?

A 最後の取引を記録した日から3年間は保管が必要です。

宝石や貴金属を取り扱う古物商においては、200万を超える現金取引をした場合には『犯罪収益移転防止法』が古物法より優先して適用されるため、保存する義務が7年間に伸びることとなります。

【古物商 実務Q&A】本人確認と古物台帳はどのようなときに必須ですか?まとめ

古物商許可を取得した皆さんは『本人確認』と『古物台帳に記録』する義務があります。

そして、どんなときに必要であるかは、皆さんの『お店の営業形態』や『取引ケース』で異なってきます。

また古物商許可を取得されたばかりの方において、はじめからすべてのケースを覚えることは難しいとは思いますので、まずは以下の2点を抑えて実務にいかしていきましょう。

本人確認』は『盗品類の流通を防ぐ』ために実施し、『古物台帳への取引記録』は、『盗品類の被害を早く解決する』ために必要。

また、判断に迷ったときは古物商を許可制とした目的を思い出してみれば正しい判断ができると思います。