行商「しない」で古物商許可を取得してしまった場合にはどうする?

この記事は専門家が監修しています

行商「しない」で古物商の許可を取得してしまった方へ

古物商許可申請書類は『行商する』に変更することを強くおすすめいたします。

古物を売り歩くわけじゃないし・・・いらないかな

と、行商『しない』で申請してしまった方、

実は行商こそが、古物商として必要になってくる仕入れルートや人脈作りなどの可能性を大きく広げてくれるのです!

古物商にとって「行商」ができないことはリスクでしかありません。
まずは具体的に、古物商にとっての行商とは、何を指すのかを確認していきましょう。

行商を『する』にマルをつけないと・・・

ざっくり言うと・・・ 

行商を『する』にすると営業所以外で古物の取り引きをすることができます!
行商を『しない』にすると営業所でしか古物の取引ができません!

営業所でしか取引ができないと、古物商としてお店を経営していく上で色々と不都合なことが起きてしまいます。

リサイクルショップの起業を例に挙げて、行商を『しない』ことのデメリットについて考えていきましょう。

個人からの買い取りの限界・・・

営業所でしか古物の取引ができないということは、商品の仕入れは店頭での買取りだけになってしまいます。買い取りは、日によって希望者の人数にも品物の種類にもバラつきがあります。

そのため、在庫が少なくなって品薄状態になったり、売れ筋の商品が手に入らなかったりします

毎日大勢の買い取り希望者が訪れるブックオフのような超大手以外は、品揃えをコントロールすることはむずかしいでしょう

せっかくツテがあっても・・・

ツテやコネなどで独自の仕入先を持っていることは、リサイクルショップを経営していくうえで大きな強みになります。
他のお店と、商品の品揃えを差別化できるからです。

ところが、行商ができなければ、新古品を譲ってくれる卸売業者や中古の家財や家電を譲ってくれる引っ越し業者などの営業所(倉庫など)へ出向いて仕入れることができません。

古物市場が利用できない・・・

何より痛手なのは、最強の仕入先と言われる古物市場での仕入れができないことです。

また、古物市場は仕入れができるだけでなく、不用品を売ることもできます
ですが、やはり行商の許可を持つ古物商のみしか販売はできません。

どんなに広いお店でも、商品陳列に使えるスペースには限りがあります。
そのため、売れない商品は早めに処分しなくてはいけません。

在庫を調整できるルートは確保しておくべきでしょう。

古物市場はなぜ最強の仕入先と言われているの?
古物市場は取引相手が在庫を処分したい古物商なので、安い値段で大量に仕入れができるからです。また、定期的に開催されるため、安定した仕入れルートとしても重宝します。

その結果・・・経営の危機に

このように、行商ができないことで仕入れや在庫処分が思うようにいかずリサイクルショップが経営の危機に陥ってしまう可能性が大きいです。

想像してみてください。
あなたがリサイクルショップに買い物に行って、商品が少なく棚のスペースが余っているお店売れ筋ではない商品でごちゃごちゃしているお店で、買い物をする気が起きるでしょうか?

豊富なバリエーション適度な分量の品揃えは、購買意欲を刺激します。
そういうお店をつくるためには、安く大量に魅力的な商品を仕入れることが一番重要です。

そのためにも、古物市場を含め自分の営業所から出向いて買い付けをする、つまり行商の許可を持っていることが大切なのです。

「行商しない」ままで、行商行為を行うと1年以下の懲役または50万円以下の罰金です。

行商を『する』に変更する方法は?

行商を「しない」から「する」に変更する手続きは、ちっとも難しくありません

一枚書類を書いて1500円払えば、二週間程度で変更することができます。

もし、手続きがむずかしそうということで変更をためらっている方がいたら、重い腰を上げてサッと手続してしまいましょう。
これから、手続きの方法を具体的にお伝えしていきます。

どうしても書類が苦手で・・・という方は、いざとなったら行政書士に依頼をして手続きを代行してもらうこともできます

変更届出書・書換申請書(両方で1枚)の申請の仕方

では、順番に手順を確認していきましょう。

届出先の窓口

許可証の交付を受けた警察署の防犯係が窓口

許可を取った後に営業所を移転して届出をしている場合は、届出後の営業所の所在地を管轄する警察署に提出する必要があります。気をつけましょう。

申請・届出期間

変更があった日から14日以内

申請・届出時間

平日の午前8時30分から午後5時15分まで

許可証の書換えをしたり会計窓口での申請手数料を支払ったりなど、こまごま時間がかかります。時間に余裕を持って警察署へ行きましょう

手数料

一通1,500円
申請する時に、警察署会計係窓口で直接納入します。

必要書類

別記様式第5号その1(ア)変更届出・書換申請書 (行商の変更)

変更届出書・書換申請書(両方で1枚)を2枚、そのうち1枚は記入後コピーでもOK

他に変更したい項目がない場合は、変更届出書・書換申請書1枚のみを記入、添付書類も不要です。

変更届出・許可証の書き方を詳しく解説した記事もありますので、あわせてご覧ください。

さっそく行商をはじめる前に

変更手続きが無事終了したら、いよいよ行商することができます。行商を始めるにあたって2つの重要な注意点があります。一緒に確認していきましょう。

古物の買い取りは、どこででもできるわけじゃない

古物を買い取れる(仕入れ)のは『自身の営業所、もしくは販売相手の自宅(営業所)』のみです。喫茶店などではできません。
また、Aさん宅に買い取りに行き、そこで友人のBさんの古物も一緒に買い取ることも違反行為なので気をつけましょう。

ただし古物商同士の取引は例外です。

お互いがプロなので、どこででも取引きをすることが可能です。
そのため、古物市場でも売り買いができますし、コンビニの駐車場などで取引をするケースもあります。

古物商許可証もしくは行商従業員証を必ず携帯しましょう

 
古物商の許可を取った本人は古物商許可証を、従業員は許可証の代わりに行商従事者証を、行商に携帯する義務があります。

そして、取引相手から求められた場合は、必ず提示する必要があります

また古物市場では、古物商許可証と行商従業員証どちらかを受付で提示することが求められます。

行商を『する』に書き換えたらできること

行商を「する」に書き換えると、できることの幅がグッと広がります。お客様の家や業者の倉庫に買い取りに行けるだけでなく、営業所以外で古物の販売も行えるようになります。
具体的に、できるようになることを確認していきましょう。

行商の許可でできること6つ

デパートなどの催し会場で古物販売

短期間のみの店舗で古物を販売することができる

デパートの催事場や骨董市やアンティークフェスティバルなどに出展できます。
ただし、催し会場で古物商以外から古物を買い取ることはできないので注意しましょう。

古物市場で古物の仕入れ

古物市場は業者同士で古物の取引きができる優良マーケット

古物市場を利用できることにより、安定して仕入れができるルートと在庫が調整できるルートを確保することができます

中古自動車を訪問販売

中古車のセールスのために、お客様の自宅に出向くことができる

毎日お客様が溢れるほど店舗に来てくれていれば別ですが、自ら売りにいく姿勢も大事です。車は高い買い物なので、ひとりで即決するというよりはご家族の意見も聞いて決めたい方が多いです。

全員で店舗に行くのはなかなかむずかしいので、訪問販売は効果的です。

参照:ガリバー 

中古バイクの買い取り

バイクを買い取るために、お客さん宅に査定に出向くことができる

バイクの買い取りは、査定に出向くことが常識になりつつあるので、行商は必須です。

参照:バイク王

中古のブランド品を訪問販売

お客様宅で不用になった高級ブランド品を査定して預かることができる

預かった品の販売を代行をして、売れたら商品価格の6~7割をお客様(委託者)に支払います。

クローゼットの整理で大量に査定してもらいたいという要望の場合、お客様自身に営業所まで持ってきてもらうのはハードルが高いので、出向くほうが需要があります

  

フリーマーケットで古物を販売

利益を出す転売を目的として、フリーマーケットで古物を販売することができる

ただし、フリーマーケットでは、古物商以外の出店者から転売目的で買い取ることはできないので気をつけましょう。

転売目的ではなく、個人的な買い物をすることは問題ありません。

これから行商でできるようになるかもしれないこと

2017年の警察庁の有識者会議で、中古品などを取引する古物営業の規制緩和について、報告書がまとめられました。

そのなかには、短期間出展する場所での買い取りを許可することも盛り込まれています。

この規制緩和が実施されると、事前に許可を取れば、骨董市・デパートの催事場・集合住宅のエントランス・スーパーの駐車場などで短い期間出店する露店でも古物の買い取りができるようになります。

おわりに

古物商を営むためには、行商はとても大切な活動です。古物商許可を行商『しない』で取得している方は、ぜひ『する』へ書き換えをオススメします。

現在、古いものや不用品の価値を見直す、リユースのブームがきています。
若者の間では、リサイクル品を価値ある一点物としてとらえる価値観も一般的になってきました。

また、スマートフォンの普及により、メルカリやヤフオクなど個人間で中古品を売り買いできるウェブサービスが急成長しています。
ですが、出品者側は出品や発送の手間が大変だったり、購入者側は偽物や不良品を買ってしまうリスクがあったりなど、個人の取引には限界があります。

そこで、古物商の出番です。
最近、古物商が間に入って鑑定と販売をするなど、委託販売の手法を採用した通販サイトが相次いで立ち上がっています。

古物商で新たなビジネスチャンスを掴むためにも、行商という手段を上手に活用していきましょう